入寮(はじまり)
今から約18年ほど前。私は関西の大手電機メーカーに就職し、始めの2年弱ほどの期間
社員寮にお世話になっていました。それまで、東京の実家から出たことがなかった私は
当然、他人と共同生活などしたことがなく不安も大きかったのですが、すぐに慣れる
ことができました。
会社から帰れば、すぐ食事が取れ、大きなお風呂にも入れる。ありがてえ…🙏
しかし、私は知らなかったのです。そこには私の常識では理解できない、
予測不能の行動を取る奇行種が何人もいることを…
まさにカオスな社員寮
私が出会った奇行種を、3人ほど紹介します。
①廊下全力疾走おじさん
ある休日、私が買い物から寮に帰り、階段を登り自室へ続く廊下に差し掛かった時でした。
風圧とともに、何かが眼の前を右から左へ駆け抜けました。
「!?」
驚いた私が駆け抜けた方向を見やると、そこにはすごいスピードで廊下の端へと
全力疾走するおじさんが。そしておじさんは、端まで走ると息を整え、今度は
左から右へ全力疾走し始めました。そして端までたどり着くと、また息を整え
廊下を全力でダッシュし続けます。
そう。おじさんは、短距離ダッシュのトレーニングをしていたのです。
危なすぎる。お願いだから、外でやってくれ。
②お風呂で空気椅子おじさん
ある日、仕事を終えた私が寮の大浴場に行くと、1人のおじさんが目に入りました。
浴室内の壁を背に、立ち尽くすおじさん。そして次の瞬間、おじさんは膝を約90度に
曲げて椅子に座るような姿勢をキープする、いわゆる「空気椅子」を始めたのです。
ずっと見ていたわけではないですが、恐らく1分×3セットくらいやっていたでしょうか。
トレーニングを終えたおじさんは、そのまま湯船に入りました。湯船から上がると、
再び空気椅子。ストイックなのはいいけど、シャワー浴びて汗を流してから入ってくれ…。
③毎日自室で焼き肉おじさん
寮での生活が1年ほど経過したころ。私の部屋の隣に、新しい人が入寮しました。
ある日、仕事を終えて部屋に帰ると肉を焼く香ばしい匂いがしてきます。
そして、次の日も、その次の日も。ほとんど毎日、香ばしい匂いが止まることはありません。
匂いだけならまだ我慢できましたが、焼き肉おじさんは野菜の切れっ端などを
共同洗面所のゴミ箱へ雑に捨てていました。それが何を呼び寄せるのか…。
お分かりですね。Gです。洗面所に行くと、ほぼ間違いなく黒いヤツと遭遇するように
なってしまいました。更に、Gを餌にするあの「アシダカ軍曹🕷️」も出現。
歯磨きをしに行った時、壁に張り付いていた手のひらサイズの蜘蛛を初めて見た時
私は本気で腰を抜かしそうになりました。お願いだから、生ゴミはちゃんと決められた
ところに捨ててくれ…。
それを補って余りあるメリット、「最強の貯金環境」
奇人変人が度々出没する社員寮。
しかし、彼らの存在を吹き飛ばすほどの凄まじいメリットが存在します。
それは、あり得ないほどの固定費の節約が可能になることです。
現在の私の固定費と、ざっくり比較してみましょう。
インフレの影響は考慮せず、額面だけ見てみると…

1ヶ月で約90,000円。この節約効果は、貯蓄するには最高の環境です。
その上、当時の私は毎日ほぼフル残業。更に休みの日も部屋に籠もって仕事のための勉強。
お金を殆ど使わない日々を過ごしていました。結果、寮を出るまでの約2年間で、貯金通帳の
残高はなんと400万円ほど増えていました。
そしてこの時貯めることができたお金が、後々株式投資の種銭の一部になってくれたのでした。
貯蓄と安心感をくれた、寮との別れ
勤めてから約2年ほどで別会社への出向を命じられた私は、そのタイミングで寮から出て
一人暮らしをすることになりました。
廊下を全力疾走するおじさんも、風呂場で空気椅子をするおじさんも
毎日焼き肉を焼くおじさんもいません。その時、寂しさをハッキリ感じましたね。
寮には色々な人がいて、会話はなくとも「人の温度」みたいなものが常にありました。
それって、やっぱり安心に繋がっていたんだと思います。
(今となっては、すっかり一人暮らしに慣れて何も感じなくなりましたが…)
投資の種銭と、貴重な経験をくれた社員寮。
今となっては、すごくいい思い出です。


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